Audi R8 LMSを駆って2012年からGT300クラスに参戦を続けるAudi Team Hitotsuyama。9年目となる2020シーズンは、チーム体制が大きく変わりました。2019年にGT500クラスでドライバーズチャンピオンを獲得するなど、SUPER GTやスーパーフォーミュラで輝かしい実績を残してきたチームルマンと業務提携を行い、マシンメンテナンスとチームオペレーションの両面からAudi R8 LMSのパフォーマンスアップを狙います。さらにドライバーも新たなメンバーに。Aドライバーとして、Audi Sport ファクトリードライバーであるクリストファー・ミース選手を、BドライバーとしてSUPER GTなど、Audi R8 LMSでレースに出場経験がある川端伸太朗選手を起用することが発表されました。
新体制のもと、大きな躍進を誓って臨んだ2020シーズンですが、コロナ禍の影響でスケジュールが大きく変更。およそ3ヵ月遅れの2020年7月19日、静岡県の富士スピードウェイにおいて、開幕戦となる“2020 AUTOBACS SUPER GT第1戦 たかのこのホテル FUJI GT 300km RACE”が行われました。以降は、8月8-9日 Round2 富士、8月22-23日 Round3 鈴鹿、9月12-13日 Roun4 ツインリンクもてぎ、10月3-4日 Round5 富士、10月24-25日 Round6 鈴鹿、11月7-8日 Round7 ツインリンクもてぎ、11月28-29日 Round8 富士という開催予定になっています。
さて、Round1は無観客で行われ、また予選と決勝を同日に行う変則的なスケジュールが用いられました。残念ながらミース選手は来日できず、SUPER GTやスーパー耐久で活躍している近藤 翼選手がスポット参戦。川端選手とコンビを組みます。予選の前日には公式練習が行われましたが、富士スピードウェイは霧がたちこめあいにくの天候。それでも近藤選手ができるだけ長く走行できるよう配慮し、一方の川端選手は決勝を見据えたセッティングを試すなど実りの多い時間となりました。
そして翌19日、曇り空ながらドライコンディションのもと、9時30分から公式予選がスタート。29台と台数の多いGT300クラスはA、Bの2組にわかれてそれぞれ10分間のQ1を行い、各組の上位8台がQ2に進出するノックアウト方式で行われます。Audi Team Hitotsuyamaは、川端選手がB組でQ1のタイムアタックに挑み、セッション終盤の計測4周目にタイヤが温まりきっていなかったものの1分37秒896をマーク。さらにアタックを試みようしましたが直前にチェッカーフラッグが振られてB組10番手にとどまり、Q1を突破することができませんでした。その結果、決勝レースは19番手からのスタートとなりました。
予選、決勝を同日に行うという慌ただしさのなか、決勝は近藤選手がスタートドライバーを担当。15時3分にレースの幕が上がると、近藤選手は1周目にポジションを3つ上げ16番手に浮上。その直後にセーフティカーが導入され6周目にリスタートしてからも、着実に1分39秒台のラップを刻み13番手まで順位を上げます。ところがしばらくして近藤選手がマシンに異変を感じ、予定よりも早く20周目でピットイン。原因は右リアのホイールナットの不具合で、それがマシンの不安定な挙動につながっていたことがわかります。さらにその影響でタイヤ交換作業に手間取り、1分以上のタイムロスとなりました。このため、ほぼ最後尾までポジションを落としてしまいます。
そんな不運のなかにあっても、マシンを託された川端選手は上位にひけをとらないペースで周回を重ねます。そしてじわじわと順位を上げ、最終的には17位でゴール。開幕戦を完走で終えることができました。チームの一ツ山代表は「ホイールナットのトラブルがなければ、苦手な富士でも十分入賞できるポジションにいることが、今回のレースで確認できました。Round2も富士ですが、必ずポイントを取り、Audi R8 LMSが得意とする鈴鹿やもてぎのレースにつなげたいと思います」と語っています。マシンとドライバー、そしてチームのポテンシャルの高さを見せてくれた第1戦。悔しさは残るものの、以降に期待が持てる内容でした。
なお、今シーズンはAudi Team Hitotsuyamaのほかに、X WorksチームがエヴァRT初号機 X Works R8でGT300クラスに参戦しています。Round1はHitotsuyama Audi R8 LMSに続いて18位で完走しています。
開催日:7/19
開催サーキット:富士スピードウェイ
天候:曇/ドライ
決勝開始時刻:15:03 終了時刻:16:56
出走台数 :29台
ドライバー:川端 伸太朗/近藤 翼
決勝周回数:62周
決勝ファステストラップ:1'38.153